薔薇のキリム

  • 2018.01.14 Sunday
  • 16:53

JUGEMテーマ:キリム

1月28日月曜日まで、「アナトリア キリム夜話」と称して、イスタンブルから DUBBのオールドキリムコレクションを中心にお見せしています。

 

クリスマスには、Mehmet Arasさんが山口の展示会からイスタンブルに帰る前まで、「ワサビ・エリシ」に滞在してくださって、皆さんにキリムにまつわるお話をしてくれました。店主も、この機会に「門前の小僧」でお勉強。

 

Mehmetの育ったニーデ(Nığde)は、カッパドキアから山を越えて地中海に抜ける大きな街道沿いのある地方で、標高1000メートルの高原です。自然が豊かで昔は羊を遊牧していた人が多かったところ。彼のおばあちゃんも、家でキリムを織っていたそうです。

 

彼の村には1970年代になって電気が引かれ、その日「これで、夜も、子どもを寝かしつけてからも針仕事ができるわ。」と女たちが大喜びしていたことを覚えていると言っていました。針仕事は「仕事」ではなくて「遊び」。楽しみながら、「そんなことしていないで、お手伝いしなさいー!」とお母さんの声を聞きながら、「もう、ちょっと待ってー」と姉妹たちがオヤや刺繍に夢中になっていたなんて、まるで映画か絵画の一コマのようで、彼のお話から情景が生き生きと見えるようです。

 

キリムにも一枚一枚、物語があります。私はまだまだ修行半ばの「門前の小僧」ですが、今日は、「薔薇(バラ)のキリム」の話。

その一枚は、アナトリアのものとはデザインも、作り方も色合いも違う、薔薇の柄のキリム(平織りのキリムに織りながら他の横糸を差し込んだズィリ織り)。

 

アナトリアのキリムは、具象的な柄がないので、その一枚は異彩を放っていて「みにくいアヒルの子」ならぬ「黒鳥に一羽の白鳥」。モダンな色だし、ヨーロッパ風でもあり、敷物としては薄手で、一体これは?

 

実は、カラバフといって、アルメニアとアゼルバイジャンにまたがる地域、民族や国境の争いが絶えないカフカスの小さな国の1940年頃の品物でした。カラバフのトルコ名はKarabağ。この地は古くはオスマントルコ帝国の一部でした。

カラバフのキリムと言えば「薔薇のモチーフ」と言われるそうですが、薔薇の原産地だったからという説も。

 

麻地に羊毛の大輪の薔薇が咲いている3メートルの大きな布(建物内外の飾りだったのでは?)は無事、気に入ってくださるお客様の元に旅立ち、お宅のリビングを飾っています。

 

同じ布地のハギレを使ったクッションカバーはまだ「ワサビ・エリシ」にあります。

「薔薇のキリム」の一部はクッションカバーになりました。カラバフの薔薇です。
同じくカラバフの薔薇のモチーフの絨毯。1920年のもの。
DUBBのMehmet Aras。一年に一度日本でキリムの展示会を開きます。東京では「ワサビ・エリシ」だけ。

 

 

 

「Aras夫妻との出会い」

  • 2017.03.29 Wednesday
  • 19:04

JUGEMテーマ:キリム

4月3日(月)までの「Kilim+Yama」展。("Yama”とはトルコ語でパッチワークのこと。)

 

素晴らしい敷物のコレクションを持ってきてくださったのは、トルコ、イスタンブル在住のMehmet Arasさんと奥様のKayokoさんです。

 

店主は、その昔学生の頃にイスタンブルに三年半住んでいましたが、絨毯の世界とは全く縁遠くて(もちろん、一番の理由はお金がなかったからです。)、それに観光地の絨毯屋さんに関しても良い噂より悪い噂ばかりを聞いていたので、トルコに行っても絨毯屋さんは素通り。トルコの敷物の文化を知りたい思いは強く持ちつつも、今まで良い出会いがありませんでした。

 

「ワサビ・エリシ」を開店してからも「絨毯とかは扱わないんですか?」とお客様から聞かれることが多くありましたが、「いいえ、絨毯は奥深い世界なので、とてもとても。」とお答えしていました。

 

「イスタンブルに住んでいたんだったら、Kayokoさんともお知り合いですか?」とある日、ニット作家のAizu(會津友人さん)に聞かれて、ご紹介を受けたのが、Kayokoさんです。會津さんとは、日本を代表するファッションブランドのメンズのデザイナー同志のご関係でした。

 

以来、Kayokoさんの古い素材(キリムや遊牧民のテントや、穀物袋など)をパッチワークした作品を店に置いてもらったりして、彼女が日本に帰国するたびに一緒に過ごす時間が増えてきています。シャイなKayokoさんですが、偶然何年か前のイスタンブルの同じコンサート会場に二人ともいたことがわかった時は、大喜び。

 

お客様に説明するたびに、Kayokoさんのデザインの良さや仕事の確かさを感じます。彼らが作り始めてから、グランドバザールで真似されることが多くなったらしいパッチワーク・ラグも、古い素材をいじるので、処理の仕方が乱暴だとすぐにほつれたり、とトラブルは絶えません。しっかりと裏打ちをしてから裏地をつけてあったり、この分厚い素材をどうやってこんなに綺麗に始末するのかと思うほど、仕事に手抜きがありません。

 

今回は、イスタンブルからMehmetさんのセレクションのキリム類を並べてもらっています。全部で130枚以上。

 

遊牧民は、自分の育てた羊の毛を染めて、紡いで、織って、使っていました。アナトリアの大地の色に、赤いキリムはどんなにか映えただろう、と想像してしまいます。

 

3月31日(金曜日)にMehmet(メメット)さんがKayokoさんの実家のある山口から帰ってきて、最終日まで在廊します。日本語が達者ですので、お話を聞きにきてください。

 

壁の右に部分が見えるのは、100年以上前のKonya地方の花嫁の靴下を集めて、最近染めて織ったキリム。糸の細さ、柄の繊細さんは驚きです。

Mehmet(メメット)さんのキリムのストーリーは、物語。

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